投資、投機、証券会社、銀行、はたまた詐欺など、お金を巡る映画というのは、とても人気のあるジャンルですよね。

これまでにも実に多くの「お金にまつわる映画」が世界各地で作られており、普段は見ることのできない金融業界の舞台裏や複雑な人間関係に接することができる映画を見て、新鮮な驚きを感じたり、また富を求める人間の欲の深さやその騙しのテクニックやアイデア、登場人物の頭の良さや魅力的な振る舞いに、思わず唸ったという方も結構いるのではないかと思います。

ちなみに人気のある「お金映画」はこちら。お金にまつわる人間の欲望について考えるなら、一度は見ておきたい映画ばかりです。

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投資・銀行・証券など金融業界を舞台にした映画

  • マネーショート 華麗なる大逆転
  • ウルフ・オブ・ウォールストリート
  • インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実
  • ウォール街
  • キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け
  • マネー・トレーダー 銀行崩壊
  • キャピタリズム~マネーは踊る~
  • ラウンダーズ
  • ザ・コーポレーション
  • マージン・コール
  • プロヴァンスの贈り物
  • 虚栄のかがり火

改めて考えて見ると、私たちの関わっている映画製作というのも立派な投資ですし、リスクをどうにか回避し、一攫千金で大きな富を得たいというのは、世界中の人の心の中にある「共通の根源的な欲求」なのかも知れません。

お金の力に吸い寄せられるように集まってくる人々の剥き出しの欲望、裏切り、成功、転落。

普段は滅多に見ることのできないそんな赤裸々な人間臭さを描き出すには、映画というメディアはとても相性がいいと言えるのかも知れませんね。

映画「マネーゲーム」に見るお金の意味

2000年に製作された映画「マネーゲーム」は、証券業界を舞台にした映画ですが、オリジナルタイトルは「Boiler Room」(ボイラールーム)。イヴァナチャバックの来日ワークショプでも過去採用されたことのある映画です。

「プライベート・ライアン」のジョヴァンニ・リビシ、ヴィン・ディーゼル、「アルマゲドン」のベン・アフレックなどの共演も話題になった作品でした。

100人を超える多くの証券ブローカーたちが、ボイラールームに集まり、その巧みな話術で客を騙し、巨額の富を得ようするストーリーを縦軸に、そこに関わる人々の人間模様を描いた映画作品です。

大学を中退し闇カジノを運営する20歳の主人公・セスが、父親に認められたいその一心で証券会社に入り、業界の裏事情を知っていく過程である事件に巻き込まる過程がそのストーリーの中心に据えられています。

ちなみにBoiler Room(ボイラールーム)というのは、本来は「給湯室」という意味。

ですが、証券詐欺を「boiler room scam」というように、ブローカーが投資家をターゲットに、電話を使い価値のない株を言葉巧みに売りつける詐欺行為、Boiler Roomには、そんな意味もあるようです。

その由来は1970年代の政治の地下組織活動にあるようで、秘密部員たちが自分たちの支持候補への投票を促すために置かれた無数の電話、その電話から伸びている電話線が、まるでボイラールームを無数に這い回るパイプ管のようだったから、という説が有力なんだそう。

そう言われてみると、薄暗い秘密部屋から電話をかける電話線の中には、電話の向こうの相手にとっては「沸騰しそうな程、熱くてうまい儲け話」がお湯の代わりに流れているようで、とても見事な比喩だなと思いますね。

スタッフ

監督ベン・ヤンガー
脚本ベン・ヤンガー
エグゼクティブプロデューサー
リチャード・ブレナー クレア・ラドニック・ポルスタイン
製作ジェニファー・トッド スザンヌ・トッド
撮影エンリケ・シャディアック

イヴァナチャバック・ワークショップ雑感

それにしても、どうしてこれほどまでに「お金に関する映画」は人気があるのでしょう。

もちろん映画の素材になるくらいですから、主人公の生活は一般人には想像もつかないくらい刺激的で、ジェットコースターのような人生の浮き沈みを見事に体現しています。

豪華絢爛で派手で魅力的な生活と人々の賞賛と笑顔は、降り出したダイスの数が一つ違うだけで、一夜にして霧のように一気に消え去り、失意のどん底へと突き落とされるストーリー展開は、憧れと恐怖という2つの相反する感情を十分に揺さぶる大きな力がある、そう思います。

そして、そのほとんどのお金映画の主人公たちは、決して愚鈍な人物ではなく、とてもスマートで魅力的で優秀な人物が圧倒的に多いのも特徴で、その人物でさえコントロール不能の状況に陥る、という点がお金ムービーの共通点でもあります。

イヴァナチャバックは「たとえ殺人者でもその役を裁いてはならない」とその書籍でも言っています。なぜなら、人間が行動するその根底には、必ず「その人なりの正当な理由があるから」です。

お金ムービーの主人公もその考えの上に立つとやはり同じで、強烈にお金に執着して過激に頂点を極めようとするのには、やはり主人公たちの「個人的な正当な理由」があるはず。

そして、それは私たちの「願わくばお金持ちになりたい」と心の底に眠っている密やかな願望を拡大鏡で大きく映し出している「私たちの姿そのもの」を映画というものを通して擬似体験していることなのかも知れません。

お金というのは、実は実体のないもの。世間が共同で作り出した幻想に過ぎない。

そんなことを映画の主人公を通じて、再度認識できるというのも、多くの映画人たちが金融業界や投資の世界を舞台にして作品を作ってきた、本当の理由のひとつかも知れませんね。

人間の業のようなものを、一番端的に表現している映画、それが「お金ムービー」の本質的な存在意義なのかも知れません。

表と裏、光と影。

やはり、映画にするには、とても相性のいい素材であることは間違いなさそうです。