洗脳とは何か?そう問われたら、あなたならどう答えますか?

私たち日本人はカルト集団「オウム真理教」の一連の事件を経験しているので、度々メディアを通して語られてきた「洗脳」という言葉のイメージは、なんだか言葉ではうまく説明しがたいけど、とにかく理解不能でとても恐ろしいもの、そんなイメージがあるのではないかと想像します。

そもそも洗脳という言葉は、英語の「brainwashing」の直訳です。

脳を洗いあげ『別の脳』に染め変えられてしまう。そんなビジュアルイメージがぴったりくる恐ろしい言葉だと思います。

映画でも度々取り上げられている題材でもありますが、わかりやすく洗脳の意味を捉えてもらえるように、今回はイヴァナのワークショプでも採用された「マーサ、あるいはマーシー・メイ」という映画を通して洗脳の意味を考えてみたいと思います。

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映画「マーサ、あるいはマーシー・メイ」(2011)

映画の主人公は、マーサ(エリザベス・オルセン)という若い女性です。

マーサは、とあるカルト集団に入信し2年間も共同生活を送っていたのですが、一転その生活から逃亡し、唯一の身内である姉の家で保護されることになります。映画自体には派手な展開もなく、姉夫婦の元に身を寄せたマーサが、姉と義兄と過ごす2週間の生活がただただ淡々と描かれていくそんな表向きは静かな映画です。

しかし、マーサ本人は隔離されたカルト社会の考えに洗脳されてきたことで、実社会で普通の生活を送ることに色んな苦悩を抱え込むことになります。

先ほども書いたように表向きは静かな映画ですが、彼女の内面という視点で見てみると激しく荒れ狂うような感情にあふれた映画。それが「マーサ、あるいはマーシー・メイ」という作品です。

ちなみにタイトルにもなっている「マーシー・メイ」とはカルト集団から与えられた名前。オウム真理教でいうホーリーネームにあたるでしょうか。マーサとマーシー・メイの心の対決という構図で捉えてみると、この映画の意図したテーマがくっきりと浮かび上がってくるのではないでしょうか?

スタッブ・キャスト

監督・脚本 ショーン・ダーキン
製作 アントニオ・カンポス
パトリック・S・カニンガム
クリス・メイバッハ
ジョシュ・モンド
製作総指揮 テッド・ホープ
Saemi Kim
Saerom Kim
Matt Palmieri
Alexander Schepsman
音楽 デニエル・ベンシ
Saunder Jurriaans
撮影 Jody Lee Lipes
編集 Zachary Stuart-Pontier
役名俳優名
マーサ エリザベス・オルセン
パトリック ジョン・ホークス
ルーシー サラ・ポールソン
テッド ヒュー・ダンシー
ワッツ ブラディ・コーベット
マックス クリストファー・アボット
ケイティ マリア・ディッツィア
サラ ジュリア・ガーナー
ゾーイ ルイーザ・クラウゼ

イヴァナチャバック・ワークショップ雑感

映画「マーサ、あるいはマーシー・メイ」は2019年の東京ワークショップでも取り上げられた作品です。

湖を見つめて深く考え事をして座っているマーサのところに姉のルーシーがやってきて、二人の静かな会話が交わされるシーンをプレイヤーが演じて見せました。

姉のルーシーはなんとか妹マーサを救ってあげたい一心で彼女に近づくのだけど、マーサはそれをどこかで望みつつも、威圧するかのように彼女を拒否し続けている。マーサであり”マーシー・メイ”でもある彼女と姉の何とも言えないぎこちない距離感。

二人を隔てる空間に「届きそうでいて永遠に届かないような空気感」をイヴァナの指導を受けプレイヤーは見事に表現していたことを思い出します。

洗脳でいうと、このシーンでマーサがいう印象的な台詞があります。

Do you ever have this thing where you can’t tell if something’s a memory or if it’s something you’ve dreamed?

自分の記憶と夢を区別できない時ってある?

カルト集団の閉鎖的な空間から抜け出して平穏な日常に戻り、自分を一番理解してくれる筈であろう姉を目の前にしても、マーサはどこか居心地の悪さを感じている。そんなニュアンスがその台詞には込められていたように思います。

彼女が本当に心許せる世界は、マーサとして生きることなのか、それともマーシー・メイとして生きていくことなのか。

洗脳映画という狭い解釈、特殊な設定だけに目を向けるのではなく、この映画の物語を私たちの日常に当てはめて考えると、より作品やキャラクターの深い理解に繋がると思います。

是非、一度ご覧になってください。

そして、今後、イヴァナ・ワークショップやLA Bootcampであなたにしか演じられないマーサや姉のルーシーを披露してもらいたいと思います。

【追記】おまけ:洗脳に関連した映画や書籍

洗脳ということをもっと学んで深掘りして考えてみたいという方のために、以下、参考になる書籍や映画をいくつかご紹介しておきますので、興味があれば手にとってみてください。

【書籍】

・洗脳言論
・洗脳 地獄の12年からの生還 Toshl
・現代洗脳のカラクリ
・カリスマビジネスマンは使っている 洗脳力
・すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論~

【映画】

・影なき狙撃者(1962年)
・陰謀のセオリー(1997)
・洗脳(1998)
・実験室KR-13(2009)
・チャーリー・セズ / マンソンの女たち(2018)